BEACH Volley ball Style ONLINE
サイト内検索
お問い合わせ
リンク
ビーチバレー スタイル ONLINE SHOP ビーチバレー スタイル MAGAZINE情報 ビーチバレー スタイル MAIL MAGAZINE
HOME特集>ビーチバレーインタビュー9 浅尾美和

特集 インタビュー


  『ビーチの妖精』として2007年大ブレイクし、その人気を確立した浅尾美和。2009シーズンは、ビーチバレージャパン優勝、西堀健実とのペア解消、新ペアの結成など、浮き沈みの激しい一年となった。
  そんな激動の日々を経て、再びロンドンに向かって歩き出した妖精──。 シーズン開幕前に、心に秘めた想いを聞いた。

                           撮影/松永和章(Agence SHOT)

進化する妖精


2009年12月に、草野歩と新ペアを結成した浅尾は、およそ1ヵ間、国内で地道にトレーニングを積み、1月末からサイパン合宿に旅立った。新チームが掲げているテーマは、『体づくり』だという。
「毎日の練習では、ジャンプ系、ラン系、ボールを使ったトレーニングを徹底的にこなしていきました。だいぶ体全体の筋肉がついてきて、体を動かせる筋力がついてきたところで、サイパン合宿に入りました。そこでは、引き続きトレーニングをしながら、パワーアップした筋力をプレーに活かせるように、という目標を持って臨みました。
  技術的なことは、最初はパス、トスの基本練習をやって、終盤のほうはパスからトス、レシーブを拾ってスパイクを打つ、という練習を増やしていきました。特に意識したのは、強打レシーブ。国内の大会だとそんなに強いスパイクを打つ選手はいないんですけど、ワールドツアーではほとんどの選手が強いスパイクを打ってきます。それにしっかり対応するためにも、コーチに速いボールを打ってもらって、目を慣らしておく。あと、速いサーブへの対応ですね。私が得だなと思うのは、パートナーのアユ(草野歩)がすごく強いジャンプサーブを打てるので、練習のときはずっとそのサーブを受けているし、自信がつきましたね。アユのジャンプサーブは、昨年までとはスピードもパワーも全然違いますよ」


国内選手の中でも体の線が細く、自ら『パワー不足』を課題に挙げていた浅尾だが、トレーニングの成果もあり、この冬は3kgほど体重が増えた。
「開幕戦、楽しみにしていてください!! 私たちが水着をパッと脱いだら、腹筋が割れているところを(笑)。特に体幹は、毎日欠かさず腹筋のトレーニングに取り組んできたので、もちろん筋肉がついただけじゃなく、その分プレーの幅も広がってきました。そういうところを見てほしいですね。  
  実は私、今までも毎日500回、腹筋のトレーニングをやっていたし、体幹は自信あったんですよ。でも、最近になってまた筋肉がついてきたということは、もっともっとできるってことですよね。体重は、増えてもすぐに落ちてしまうこともあって、自分では筋肉がつきにくい体質だと思っていたんですけど、そうじゃなかったんだなって気づきました。 今はプロテインを飲む回数も変えて、サイパンでも体重がちょっとずつ増えていって維持することができました。問題は、これからですよね。今年の大会スケジュールは、本当に大会だらけなので、海外にいってもしっかり維持したい。前のように戻ってしまったら、また同じなので」

                             撮影/松永和章(Agence SHOT)
 
前のように戻ってしまっていけないのは、体重だけではない。勝てなかった過去の自分と完全に決別するために、妖精は進化を遂げようとしている。

「これまでの私は、自分で自分の限界を作ってしまうことが多かったんですね。たとえば、レシーブにしてもできないプレーがあったら、その原因を考えるばかりで、なかなか前に進めない。仮にできるようになったとしても、『これくらい上がればいいだろう』と、そこでオッケーにしてしまうんですよ。そうじゃなくて、『今はここまで上がっているけど、もっとこうすれば、もっとよくるんじゃないか』という気持ちが足りなかった…。今までの私は、自分で上達のレベルを決めてしまっていたんです。だから、そこを普段の練習から変えていきたいし、『もっとこうしたい、もっとこうなれる』という向上心を前面に出して、もっと高いレベルを求めていきたい」


ビーチバレーの経験がない中、高校卒業後、一歩ずつビーチの階段を上ってきた浅尾は、『向上心の塊』のような選手だ。しかし、優勝候補と言われながら、一度も国内ツアーで勝つことができなかったチームの行き詰まりが、いつの間にか、無垢な向上心を奪い去っていった。
「昨年は思うように勝てなかったこともあって、練習中にコーチからゲキは飛ぶし、誰も近づけない…という雰囲気が漂うほどの焦燥感の中で練習していました。今考えると、いつの間にか、ビーチバレーを楽しむという気持ちを忘れていましたね。もう何年も…。新しい環境になって、初めてそのことに気付きました。それじゃ、上手くならないですよね。もちろん勝ちたいから、いろいろ試行錯誤はしていましたけど、結果はダメだった。気付くのが遅かったかもしれないけど、タケさんと私がもっともっと成長していくためには、違うパートナー、違う環境が必要だったと思うし、いろんな意味でペア解散を決断したことはよかったと思っています」

                            撮影/松永和章(Agence SHOT)

新しい環境


かけがえのない日々を経て、掴むことのできた新しい環境。今はうって変わって、「ビーチバレーが楽しい!」と、大きな瞳を輝かせる。

「今は、本当に練習が楽しい。サイパンでの練習は朝夕の2回、それプラス、フィジカルトレーニングもあって、体的にはきついはずなんですけど、全然平気なんですよ。練習が始まったら、もう終わり? まだできるけどって毎日思うんですよね。それに私が悩んでいるときは、『美和、悩まなくていいよ、こういうふうにやればいんだよ』って、アユもコーチも声をかけてくれる。私も、アユが練習中にサーブが入らなくてイライラしていると、どういう言葉をかけてアユをリラックスさせようかなって、いろいろ試しています。『こうやって言葉をかけたときの反応はどうかな、こうやって声をかけたときはどう変わるのかな』って。『アユ! 今日の晩ご飯、何食べたいの?』って練習中に声をかけることもあります(笑)」


新パートナーの草野は、高校時代から言葉を交わす仲だった。草野は、マドンナカップ(高校選手権)で優勝した実力を持っていたが、卒業後は大学に進学。それと入れ替わるように、浅尾はビーチバレーの道に足を踏み入れた。このとき、すでに二人の青写真は、くっきりと浮かび上がっていたという。

「アユが大学生の頃、夏になると時折、海へ練習しにきていて、そのとき、うちに泊まりにきたりしていました。その頃から、『いつか一緒に大会に出よう』と約束していました。私がまだ2年目の頃で、勝手に言っていたことなんですけど(笑)、それが本当になった。私は、タケさんとペアを解消してから、次のパートナーはアユしかいないと思っていました」


運命的なパートナーと迎える2010シーズン。浅尾の『浅』と草野の『草』、二人の頭文字をとって、メディアが『浅草』ペアと報道したところ、それがすっかりお茶の間に定着した。そんな『浅草』ペアが描くこの先の青写真とは──。

「ワールドツアーで結果を出して、国内大会で成績に波があるというチームには、なりたくないですね。波があって負けるということは調整できていない証だし、負けたときに『目標は世界で勝つことなので…』と言い訳するのも、かっこ悪いじゃないですか。どんな大会であろうと、見に来たお客さんにいいプレーを見せて、ビーチバレー楽しかったなと思ってもらうのが、プロの役目。どんな試合も常に全力でやるのは、当たり前。だから、どんなに調子が悪くても、必ず決勝には『浅草』ペアがいること。そしてお客さんが、私たちの決勝戦を見にいこうと言ってくれるムードを作りたいですね。それとは逆に、ワールドツアーは今年の時点では、まだ波があってもいいと思っています。たとえば、一戦目は本選に行ったけれど、二戦目は予選落ち。でも三戦目は本選で1勝できたとか。最終的には、予選の上位2番目くらいのシードを獲得できるくらいのチームになっていたいですね」


『浅草』ペアのテーマは、『スマイル』だという。だが、これまでファンを魅了した妖精としての愛くるしい笑顔は、もうそこにはない。今シーズン、きっと見られるのは、真の勝利を手にした自信の笑みである。

                            撮影/松永和章(Agence SHOT)
PROFILE  あさお みわ
1986年2月2日生まれ。24歳。三重県出身。
身長172cm。津商業高出身。エスワン所属



このページのトップへ